マイルズ・ロビンス
パトリック・シュワルツネッガー
Daniel isn't Real
君は、何かがおかしい
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Introduction

孤独で冴えないルークに寄り添う 孤独で冴えないルークに寄り添う

ダニエル、彼は孤独な少年ルークにしか見えない“空想上の親友”だった。ある事件をきっかけにその存在を封印していたルークだったが、時が経ち孤独と不安に押し潰されそうになったことで、長年の封印からダニエルを呼び起こす。唯一無二の“親友”との再会から、友情を取り戻すのに時間はかからなかった。カリスマ性溢れる美青年の姿で現れたダニエルの助言によって、ルークの生活は一変。何もかもが順調に進み、やがてダニエルが必要なくなっていく。しかしダニエルはそれを許さず、次第にルークの精神を支配しようと動き出す─。薄れ行く意識の中で見えたのは、“親友”の不敵な笑み。ダニエル、君は何かがおかしい。

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世界が注目する美しき二世俳優同士が共演 世界が注目する美しき二世俳優同士が共演

内気で繊細な青年と、圧倒的カリスマ性を持つ“空想上の親友”、両極にある二人の恐ろしくも美しい関係を描いた本作。二人の男を演じたのは、ハリウッドを代表する若き二世俳優たち。ルーク役に抜擢されたのは、『ショーシャンクの空に』のティム・ロビンスと『デッドマン・ウォーキング』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したスーザン・サランドンを両親に持つハリウッド屈指のサラブレッド俳優、マイルズ・ロビンス。ダニエルに翻弄され自己喪失していく難しい役どころを熱演し、第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭で男優賞を受賞。初主演映画にして高い評価を集め、若手演技派として注目されている。妖しくも美しいダニエル役には、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子であるパトリック・シュワルツェネッガー。端正な顔立ちながら、“シュワちゃん”の面影も感じさせる親しみやすさで人気急上昇中の注目株だ。本作では、爽やかで愛嬌溢れるこれまでのイメージから一変、妖艶さ漂う謎多き“空想上の親友”役に挑戦。美しさの中に狂気を感じさせるキャラクターで新境地を見せている。ブロマンスから狂気のクライマックスへ、謎に包まれながらも魅惑的なルークとダニエルの間柄を見事に体現したマイルズとパトリック。二人の熱演と化学反応によって、観客は耽美と狂乱の世界へと誘われていく。
製作を手掛けたのは、世界的大ヒットシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング』の主演でも知られるイライジャ・ウッド。2010年に制作会社を設立して以来、個性的な作品を精力的に製作し、今や映画ファンからもプロデューサーとして一目置かれる存在となっている。監督、脚本を担当したのは、次世代のスリラー/ホラーの担い手として期待を集めるアダム・エジプト・モーティマー。自身も子供の頃に“空想上の親友”を持った経験があり、本作の作り手にふさわしい逸材だ。
確かな表現力と美しさを備えたキャスト陣の熱演に加え、先が読めないストーリー展開が評判となった本作は、辛口映画批評サイトRotten Tomatoesで91%の高評価を記録(2019年7月9日時点)。そしてついに2021年、日本に“ダニエル”がやってくる…!

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Story

両親の離婚により孤独な幼少期を過ごしていたルーク。唯一の心の支えは、自分以外には見えない“空想上の親友”ダニエルだった。しかし、ある事件によって母親からダニエルと遊ぶことを禁じられたルークは、自ら彼を封印することに。時は経ちルークは大学生になるが、際立った才能もなく人付き合いも苦手なことから、鬱屈とした日々を送っていた。加えて精神病を患っていた母親の症状が悪化し、自分も同じようになるのではと不安が高まっていく。ある日カウンセラーに悩みを打ち明けたルークは、かつての“空想上の親友”の存在が助けになる可能性を助言され、長年封印していたダニエルを呼び起こす。再会から瞬く間に友情を取り戻す二人。内気で冴えないルークとは異なり、美しく自信に満ち溢れた青年の姿で現れたダニエルは、「僕は君の一部だ」と優しく寄り添い、力強く刺激的な言葉でルークの背中を押し続ける。彼の言う通りにすれば何もかもうまくいき、やがてルークの生活は一変。大学の授業も魅力的な女性とのデートも順調に進み、自信をつけたルークは別人のように成長するが、同時にダニエルを必要としなくなっていく。しかしダニエルはそばを離れようとせず、次第にルークの心身を支配しようと“侵食”を開始する。眠るルークの口元をゆっくりとこじ開けるダニエル、日に日に自分が自分でなくなっていく感覚に怯えるルーク。どんなに叫んでも傍らで不敵に笑うだけの“親友”が、ルークを極限状態まで追い込んでいく─。果たしてダニエルとは、一体何者なのか?

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Cast

  • ルーク / マイルズ・ロビンス ルーク / マイルズ・ロビンス

    ルーク / マイルズ・ロビンス

    精神病の母親に優しく寄り添う内気で繊細な青年。孤独に苛まれ、長年封印していた“空想上の親友”ダニエルを呼び起こすも、再び彼に翻弄されていく。

    1992年生まれ。ティム・ロビンス、スーザン・サランドンを両親に持つ。ティム初監督、スーザン主演の『デッドマン・ウォーキング』(95)で映画デビューを果たす。初主演映画となる本作では、第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭で男優賞を受賞。そのほかの出演作は、『ブロッカーズ』(18)、『ハロウィン』(18) 、『クリスマスに降る雪は』(19)、声の出演をしたアニメ作品『フィアレス ~スーパー・ベイビーズに立ち向かえ!~』(20)など。テレビドラマシリーズ「X-ファイル」(93~18)では、長く行方不明だったモルダーとスカリーの息子ウィリアムを演じている。

  • ダニエル / パトリック・シュワルツェネッガー ダニエル / パトリック・シュワルツェネッガー

    ダニエル / パトリック・シュワルツェネッガー

    ルークにしか見えない、妖しくも美しい“空想上の親友”。ある事件をきっかけにルークに封印されるも、時を経て再び出現。常に隣でルークを後押ししていたが、いつしか彼を支配しようと動き始める。

    1993年生まれ。俳優でカリフォルニア州知事だったアーノルド・シュワルツェネッガーとピーボディ賞を受賞したジャーナリストのマリア・シュライヴァーの長男。初主演作品は『ミッドナイト・サン~タイヨウのうた~』(18)。そのほかの出演作は、『ハッピーエンドが書けるまで』(12)、『ゾンビーワールドへようこそ』(15)、『マックス&エリー 15歳、ニューヨークへ行く!』(16)など。俳優業にとどまらず、ハイブランドの広告塔に起用されるモデルとしても活動。自身の洋服ブランドやピザチェーンを経営するなどビジネスマンとしての手腕も発揮している。

  • キャシー / サッシャ・レイン キャシー / サッシャ・レイン

    キャシー / サッシャ・レイン

    感受性豊かな若きアーティスト。ルークと出会いやがて惹かれ合うようになる。

    1995年生まれ。第69回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『アメリカン・ハニー』(16)で映画デビュー。そのほかの出演作は、『ミスエデュケーション』(18)、『ヘルボーイ』(19)、『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』(18)など。

  • ソフィ / ハンナ・マークス ソフィ / ハンナ・マークス

    ソフィ / ハンナ・マークス

    ルークがクラブで知り合う、心理学専攻の女子大生。「賢くてロマンティックな女性」としてダニエルに気に入られる。

    1993年生まれ。女優、脚本家、監督まで、若手ながら幅広いキャリアを積み、2017年には、ローリング・ストーン誌の「世界を変える25歳以下の人物25人」の1人に選出された。主な出演作は、『ランナウェイズ』(10)、『アメイジング・スパイダーマン』(12)など。

Staff

  • 監督・脚本

    アダム・エジプト・モーティマー

    長編監督デビュー作『デッド・ガール』(15)が、名だたる映画祭で上映され「次世代のコンテンポラリー古典ホラー」と絶賛される。『ホリデーズ』(16/NETFLIX)に続き、本作が長編監督3作目となる。

  • 脚本

    ブライアン・デリュー

    原作「In This Way I was Saved」(09/Simon & Schuster出版)の著者。アダム・エジプト・モーティマーの長編監督デビュー作『デッド・ガール』(15)で共同脚本として携わり、本作で再タッグを組む。

  • 製作

    イライジャ・ウッド

    『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ、『ホビット』シリーズで俳優として世界的人気を誇る。2010年に映画制作会社Spectre Visionを設立し、現在はプロデューサーとして活躍。製作を手掛けた作品は、自身が主演も務めた『ブラック・ハッカー』(14)、『ゾンビスクール!』(14)、『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(17)、『カラー・アウト・オブ・スペース―遭遇―』(19)など。

  • 音楽

    Clark

    エレクトロ・ミュージック・シーンを牽引するイギリスのミュージシャン。2017年には「FUJI ROCK FESTIVAL」にも出演。本作で手掛けたサウンドトラックでは、自身も「最高傑作のひとつ」と語るほど、独特の美しさを持った中毒性溢れる音楽を披露している。

Interview

アダム・エジプト・モーティマー
(監督・脚本)

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─ ダニエルはルークの“空想上の親友”(イマジナリー・フレンド)として登場しますが、監督も幼少期にそのような存在がいたそうですね。

私が3~4歳の頃、「ミスター・ノーバディ」というイマジナリー・フレンドがいて、彼を父に紹介したことを覚えています。彼は真っ白な顔で卵の形をした人で、幼稚園の給食の時に一緒に座っていたんです。父はその話を受け入れてくれたので、私には彼の存在がとてもリアルに感じられました。子供の頃に誰もが持っている、現実と区別がつかないような想像力にずっと触れていて、それがこの映画の世界観を生み出すきっかけになりました。

私の親しい友人の体験も、映画作りのヒントになっています。友人は、ルークやダニエルと同じくらいの年齢の時に、極度の躁状態に陥り、現実逃避をしていました。抑うつや被害妄想に見舞われ、現実が歪曲するような感覚や、カラフルでマニアックなビジョンの広がりを味わったり…。そうした友人の経験をできるだけ忠実に、映画でも表現したいと思っていました。この映画の構造とスタイル、感情の世界は、そんな友人の経験を反映しています。

─ 本作の製作にあたり、参考にした作品はありますか?

一つは、憑依というサブジャンルに対して独自に取り組んだ『エクソシスト』(73)です。本作はある意味で『エクソシスト』と構造的な類似性を持っていると考えていました。最も参考にしたのは、ウィリアム・フリードキン監督の撮影方法です。俳優とカメラの動きや、構図によって生み出される興奮、そして物語が幻想的になっても、いかに現実的で感情的な存在を維持しているのか、そうしたところに注目していました。フリードキン監督作では他にも、『真夜中のパーティー』(70)と『BUG/バグ』(06)も参考にしています。
『ファイト・クラブ』(99)は、男同士のねじれた友情と、デヴィッド・フィンチャー監督が観客を裏切ることなく、実際にはそこにいない人々をどのように撮影しているのかを見るために参考にしました。イングマール・ベルイマン監督の『仮面/ペルソナ』(66)では、主人公2人の海辺のクローズアップを参考に取り入れてます。
ほかには、トラウマが人を未知の煉獄に引きずり込むさまを見せてくれた『ジェイコブズ・ラダー』(90)や、子供の好奇心とダークファンタジー、そして大人の作り出す非情な現実世界の恐怖を見事に融合させていた『パンズ・ラビリンス』(06)も参考にしました。

─ 撮影方法や演出の中で工夫されたこと、狙いを教えてください。

特に意識したことは、スタイルの形成です。前半は、ワイルドなカメラの動きや色の濃さが際立つマニアックなスタイルで撮影したのに対し、後半は主観的なスタイルへと変化させ、危機感を演出するアングルやビジュアルアプローチで構築していきました。ルークの幼少期の不思議な感覚から始まり、最終的に宇宙的な恐怖感に至るまで、映画全体がどのように展開していくのか、その変遷を示すスタイルガイドも作成しました。どのシーンにも、変化を表現するための視覚的な意図があります。

─ ルーク役のマイルズ・ロビンスの魅力と起用理由を教えてください。

初めて会った時は、マイルズの持つエネルギーに惹かれました。知的で感情的な理解力が備わっており、ユーモアがあって、良い意味で変人なところもあります。本作では荒涼とした世界が舞台となるので、ルーク役にはキラキラした内面とユーモアのセンス、そして愛着を抱かせるようなエネルギーが必要だとも考えていました。実はマイルズは、当初ルークよりもダニエルを演じたがっていたのですが、その事実もルーク役にぴったりの特性だと思いました。マイルズには、ルークとダニエル両方の役でオーディションを行いましたが、それは彼がダニエルの魂に踏み込むことができるかを見るためにも重要だったからです。彼は本作におけるテーマ、特に「若い男性がどうやって他人や世界と関わりを持つか」についても理解していました。

─ ダニエル役のパトリック・シュワルツェネッガーの魅力と起用理由を教えてください。

ダニエルというキャラクターは、完璧さと欲望を“悪魔的なもの”に捻じ曲げたような存在。ある種不可解なほど象徴的で、ゴージャスな青年である必要がありました。パトリックは、完璧な身体性と自信を体現しており、カリスマを抱かせるのに十分だと感じました。彼は自主的にダニエルの外見(服装や髪色など)について提案してくれて、ダニエルが「何かの生き物である」ことを認識して役作りを行い、ダニエルというキャラクターに自由を与えました。実際、ダニエルを演じる上では、自由さが鍵となっていたと思います。撮影初日、演出の中でパトリックに踊るように指示したことがありました。彼はそれを理解するのに一瞬時間がかかったのですが、次第に自らが演じるダニエルが、ルークにしか見えない空想上の存在で、それゆえに完全に解放されたキャラクターであること気付き、楽しくスタイリッシュで、どこか無秩序な動きを始めたのです。撮影を進めていくうちに、パトリックはどんどん解放されていき、実験的で遊び心のある演技をするようになり、地に足の着いた人間的なキャラクターでは決してできないような瞬間を生み出していくのがわかりました。

─ 最後にメッセージをお願いいたします。

圧倒的な没入感を創るために、音は容赦なく、色彩は豊かで具体的で、感情は渦巻くように吸収され、恐怖が増していく…そんな映画を作りました。ぜひ大画面で堪能してほしいですね。一度ロンドンのIMAXスクリーンで本作を観る機会があったのですが、音と映像の迫力に吹き飛ばされるような感覚を味わいました。日本のみなさんにも、安全に、劇場の大画面で本作を楽しんでもらえることを願っています。

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